絵を描くこと。

yaku/イラストレーター
人柄もイラストも、ウィットに富んだアーティスト

大阪心斎橋から東へ、小さなカフェやギャラリーが立ち並んだ先の歴史的な背景が漂う上町台地にアーティスト
「yakuさん」を訪ねた。
yakuさんは、絵本「星のベイビーサーカス」シリーズ1~4巻イラストレーションやNHK
教育「世の中何でも現代社会」アニメーションなどを手がけた、物腰の柔らかな素敵な女性だ。

絵画好きの両親の元に生まれたyakuさん

滋賀県高島市生まれ、高校を卒業するまで自然豊かな安曇川で育った。
絵画が好きだったという両親の影響で小さなころからデザインやアートに興味を持ち、京都芸術大学へ進学。
卒業後は大阪の大手文具メーカーへ就職しキャラクターデザインの仕事を担当した。だが、その会社はキャラクター文具の衰退と共に倒産。その後同業他社のデザイン企画会社に転職したが7年後にまたもや倒産。
立て続けの倒産に会社へ所属することの危うさを感じ、パース会社や織りネーム会社に籍を置きつつ掛け持ちしながら独立することを決意。その数年後、イラストの仕事をメインに本格的にフリーのイラストレーターとして歩み始める。

チャレンジから生まれた独自のタッチ

yakuさんのイラストは大きく分けると2方向。一方は企業などから依頼され、要望に沿った内容とタッチのイラスト、もう一方はyakuさんの作家としてのイラストだ。
後者のイラストは優しくてほのぼのとした雰囲気の中に、少しシニカルでウィットさを感じさせる個性的な感覚が独特。だが、お仕事としてのイラストはそれ以外に様々なタッチを要求されることがある。そんな時は、作家性を出すよりもクライアントが求めるイメージよりも、ちょっと上をいくイラストを提案するようにしているとのこと。そうして喜んでもらえることに快感を覚え、時には楳図かずおさんの画風等、様々なタッチにチャレンジする。そういった経験は仕事としての喜びだけでなく、作家としてのイラストの幅の拡がりにも繋がっている。
きっと読者の方もどこかでyakuさんのイラストを目にしているのではないでしょうか。
そういった紆余曲折の末、フリーのイラストレーターとなったyakuさんだが、なんと驚いたことに今まで自分から営業をしたことがない。
人柄の良さが表しているのか、一緒にお仕事をした方からの紹介が数珠つなぎとなったり、作品を見て気に入ってくれた人からの依頼で今に至ってる。なんとも羨ましい話だ。
もしかしたら、この記事を読んだあなたもお仕事で繋がるかもしれない。

デザインに目覚めた幼少時代

さて、そんなyakuさんへ、幼少期の絵に関する思い出をお尋ねすると、今に繋がるアーティストとしての片鱗と一緒に、大人への教訓とも感じられるお話しを語ってくれた。
遡ること、幼稚園時代。
白い紙製のレターラックへ好きな絵を描いて完成させるという工作の時間での出来事だった。
お友達はみんな、それをキャンバスに見立てて思い思い自由に描いている中、yakuさんはちょっと考えて、ある発想が浮かんだ。
素敵なレターラックにしたい!
自分が描きたい絵ではなく全体に柄を描き、モノ自体をいいものに仕上げたい気持ちがムクムクと沸き上がる。
だが、誰もそんなことをしている子がいなくて、先生に見せると少し困惑の表情を浮かべたとか・・・。
それはyakuさんにとって、ちょっぴりの罪悪感と恥ずかしさを感じる出来事となってしまった。それからは、描きたいものを描くというのではなく、何を描くべきなのか、他の人が自分の作品を見てどう感じるのかなど子供心に思い悩んでしまい、自由に描くということに戸惑いを感じるようになってしまった。

人と違う行動を受け入れられない大人の些細な反応が、子供の敏感な心に伝わって、没個性の生まれる原因となってしまっているのではないかと自身の経験から感じたという。 そんな体験を乗り越えた先にいるyakuさんはやっぱり絵を見ることも描くことが好きで、仕事になり、人のために多くの作品を生み出していく中、遠回りにはなってしまったが本当に描きたいものが見えてきた。
人に見てもらって、見た人が喜んでくれるのが嬉しいと語るyakuさん作品の奥には、人に対する気遣いや観察力、そして優しい気持ちが見え隠れするように感じる。
今後の夢として、イラストはもちろんストーリーも自身で生み出した絵本の製作を考え、アイデアを蓄積中なのだそう。

知人からもよく質問されるというお話!?

最後に、イラストのお仕事に憧れている小中学生さんへのアドバイスをお願いした。
とにかく、根拠のない自信を持って好きなものを描きまくってください!一歩でも半歩でも動くことが大切。行動のひとつとして、遊び心で公募に出すのはおススメですよ。と自分自身を振り返りながら語ってくれた。

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